【小説】住野よる「また、同じ夢を見ていた」ネタバレあり考察

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小説「また、同じ夢を見ていた」は「君の膵臓をたべたい」でデビューを果たした住野よるさんの作品です。

友達に勧められたり、新しい小説を買おうとしているときなら、大雑把な内容を知ってから購入したいですよね。

こちらの記事では本書の魅力・あらすじを紹介します。また後半部分にはネタバレや考察を含まれますのでご注意ください

著者「住野よる」

高校時代より執筆活動を開始した[9]。もともとは電撃小説大賞に応募していたが、一次選考に通らず、作風を見直して書き上げた「君の膵臓をたべたい」は、応募規定よりも長くなってしまい投稿できなかった[7]。他の賞に送るも結果は振るわなかったが「この作品だけは誰かに読んでもらいたい」という想いから、2014年2月ごろ、夜野やすみ名義で、小説投稿サイト「小説家になろう」に「君の膵臓をたべたい」を投稿[7]。同作が話題となり、双葉社から書籍化されデビューするに至った[7]。ペンネームの由来については、後付けと断っているものの「教室のすみっこにいるような子の夜に創造性があるはずだという意味」と語っている[8]

住野よるーWikipedia より
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小説『また、同じ夢を見ていた』

あらすじ

「人生とは和風の朝ごはんみたいなものなのよ」

賢くなるために本を読む小学生の小柳奈ノ花は「人生とは○○のようなもの」が口癖。本を読む以外の彼女の楽しみは放課後、黒猫と待ち合わせて様々な過去を持つ女性たちに会いにいくこと。学校の国語の授業で言っていた「幸せとは何か?」を女性たちに尋ねながら自分なりの答えを探す不思議な出会いの物語。

登場人物

小柳奈ノ花(こやなぎ なのか)

主人公。本を読むことが好きな少女。小説で得た知識で子供とは思えない言い回しができ、達観した考えを持つ。しかしその賢さがゆえ、少々高飛車な彼女の周りには友達、味方がいない。

黒猫

放課後の奈ノ花と行動を共にするしっぽがちぎれた黒猫。アバズレさんと出会うきっかけになった。鳴き声は「ナー」。

アバズレさん

クリーム色のアパートに住む綺麗で知的な大人の女性。「季節を売る仕事をしている」とのこと。おいしいお菓子とアイスを用意して、いつも奈ノ花を出迎える良き相談相手。

おばあちゃん

マドレーヌやフィナンシェを焼くのが得意な1人暮らしの優しいおばあちゃん。たくさんの本を知っているため、いつも奈ノ花はおすすめの本を教えてもらっている。

南さん

アバズレさん、おばあちゃんと会えなかった日、いつもと違う道の先にある廃屋で出会った無愛想な高校生。奈ノ花と同じく本が好きでノートに小説を書いていた。両親は事故により他界している。

ひとみ先生

奈ノ花のクラスの担任。ひとみ先生の言うことは「的外れが多い」と奈ノ花は思うことが多いが、好意的である。国語の授業で「幸せとは何か?」を考えるよう促した。

桐生くん

隣の席に座る奈ノ花のクラスメイト。授業でペアを組んでいる。絵を描くのが好きな少年。奈ノ花も彼の絵を素晴らしいと感じているが、気弱な性格と恥ずかしさで周りの人に「絵を描くのが好き」と言えない。

荻原くん

奈ノ花のクラスメイト。奈ノ花と同じ本好きで、もしかするとクラスにたった一人かもしれない奈ノ花の事を嫌いじゃない人物ではないかと奈ノ花は考えている。本が好きという共通部分を通して、奈ノ花は好意を持っている。



【ネタバレあり】考察

少女を取り巻く3人の女性の関係性

実は奈ノ花の○○だった

黒猫の友達と共に放課後で出会った女性たちは3人とも主人公の奈ノ花です。

もっとわかりやすく言えば、未来の奈ノ花であり、3人ともある選択をしたことで別々の人生を歩んでいます。並行現実かつ、別の時間軸に生きるはずの3人に奈ノ花は出会っていたのでした。

南さん

奈ノ花と南さんが同一人物である伏線は南さんからもらったハンカチとお父さんに買ってもらったハンカチの柄が同じであることです。

南さんの幸せは「自分がここにいていいって、認めてもらえること」。飛行機の墜落で両親を失った南さんは出張前に喧嘩をして謝れなかったことをずっと後悔していました。孤独で周りに味方がいない南さんは自称行為を繰り返していました。

「いいか、人生とは、自分で描いた物語だ」

「推敲と添削、自分次第でハッピーエンドに書きかえられる。いいか、別に喧嘩しちゃいけないんじゃない。でも、喧嘩することと仲直りすることがセットだってこと、あのときの私にはわからなかったんだ(以下略)。」

住野よる『また、同じ夢を見ていた』南さん

南さんは奈ノ花に仲直りの約束を取り付けました。奈ノ花は無事に親と仲直りし、授業参観も親が途中で駆けつけてくれました。(そして奈ノ花の両親は授業参観に出席したため、飛行機の墜落事故を免れました。)

後日、お礼を言おうとしていた奈ノ花はいつも南さんと会っていた廃屋に足を運びますが、建物の取り壊しが決まり入れなくなりました。そして南さんとの再会を果たすことができませんでした。

アバズレさん

アバズレさんと奈ノ花が同一人物である伏線は、同じ歌が好きなこと、幸せが何かを考える授業をアバズレさんもしたことがあること、自分の仕事の誤魔化し方「私は季節を売る仕事をしているんだ」が秀逸すぎることです。

アバズレさんの幸せは「幸せとは、誰かのことを真剣に考えられるということだ」。南さんとは違い、両親は生きているアバズレさん。そんなアバズレさんは本をたくさん読み、賢く、知識のある人になろうとしたがため、自分のことを特別な人間と思うようになりました。同時に周りに人たちを馬鹿にするようになり、嫌われるようになりました。立派な大人にはなれたけれども、周りには誰もいない状態になったアバズレさんは自暴自棄になり、自分の体を大切に扱わないようになってしまいました。

唯一話をしていた桐生くん萩原くん、クラスメイトに嫌われ「誰とも関わらずに生きたい」と思った奈ノ花に対し、アバズレさんは「私のようにならないでほしい」と諭しました。

その後奈ノ花は桐生くんの家を再び訪れ、桐生くんを説得し学校へ登校することができました。

おばあちゃん

おばあちゃんは、桐生くんに謝れずに、いつまでも隣にいることが出来なかった奈ノ花の未来の姿です。

彼女の家には桐生くんの絵が置いてありますが、彼は海外で暮らしていて、結婚はしていません。

おばあちゃんは自分の人生は幸せだったと言いますが、それでも謝れずに大切な人を失ったことを後悔していました。

一方、奈ノ花はおばあちゃんの言葉を受けて緊張する桐生くんの手を握ります。

これがきっかけとなり、二人はいつまでも隣にいる存在に変わったのでした。

行動を共にする黒猫

最後に、いつも一緒にいてくれたちぎれた尻尾の猫について。

実は彼女は夢の中にしか登場しておらず、現実部分にあたる奈ノ花の家、桐生くんの家、学校には登場しません。

さらに終盤、ありがとうとさようならを合わせたような声で鳴いて、おばあちゃんの家に向かっていきましたが、これは夢がもうすぐ終わることを意味しています。

そして、その通りに学校で課題の発表を終えると、奈ノ花を夢から覚め、現実=アバズレさんの年齢に近づき、彼女の顔に似てきた奈ノ花に戻るのでした。

『また、同じ夢を見ていた』こんな人におすすめ

本著は小さな主人公の織りなす心温まるストーリーが魅力的で、つい「幸せとは何か?」を考えさせられました。読書では「場面の切り替わりで話がついていけなくなる」ということがありますが、内容も綺麗にまとめられているので、理解しやすいと思います。

あまり読書を多くしないけれど、本を読んでみたい人にはおすすめしやすいです。