小説『星に願いを、月に祈りを』は中村航さんの作品です。
新しい小説を買おうとしているときなら、
大雑把な内容を知ってから購入したいですよね。
こちらの記事では著者の中村航さんの紹介のほか、本書の魅力・あらすじ・名言を紹介します。
本の購入を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
著者の中村航はどんな人?
中村航
職業 | 小説家・作詞家・VTuber事務所代表 | |
デビュー作 | 2002年『リレキショ』 | リレキショ |
代表作 | 2005年『100回泣くこと』 2012年『トリガール!』 |
100回泣くこと
トリガール! |
受賞歴 | 第39回文藝賞を受賞 第26回野間文芸新人賞受賞 |
『夏休み』『ぐるぐるまわるすべり台』は芥川賞候補になったそうです。
『星に願いを、月に祈りを』レビュー
バラバラかのように見えたお話が
そうか、そうやって繋がっていたのか、と。
そして、知らない土地での深夜のラジオは
なんてミステリアスで魅力的なんだろう。
それがましてや星の話だなんて。星を見上げた日には、きっとまたこの本を読みたくなる。
【感想・ネタバレ】星に願いを、月に祈りを。https://booklive.jp/review/list/title_id/216344/vol_no/001
あたたかくて、切ない。
でも、最後に読んでよかったと思える物語。
4章からなるお話。語り手、主人公が章ごとに違い年齢も違う。
【感想・ネタバレ】星に願いを、月に祈りを。https://booklive.jp/review/list/title_id/216344/vol_no/001
星空を見上げること。冒険。過去。
小学生には小学生の元気さがあって、中学生には中学生の熱血さがある。大人には大人の冷静さ、のようなものがある。
そういうそれぞれの年代が醸し出す雰囲気の違いはあるんだけど、みんなに透き通った爽やかさみたいなものは感じられて、やっぱり中村航さんの小説だなと思う。
あらすじ・登場人物
あらすじ
ホタルを見るため、深夜に学童キャンプを抜け出した小学生のアキオ、大介、麻里。方向がわからず森で迷いながらも、3人は川にたどり着く。歩き疲れて休んでいると、ラジオから不思議な放送を耳にする。
その後中学生になったアキオは、野球部に入った。練習中に聞こえる合唱部の歌声、その中にアキオの好きな人がいた。1学年先輩の里崎先輩にアキオは告白できないまま高校生になった。夏休みにかつてのキャンプ場を訪れたアキオは、再び不思議なラジオを聞き「自分のすべきこと」に気づく。
登場人物
大介
第1章の主人公。ちょっぴりやんちゃな小学5年生。同学年の麻里に好意を寄せている。夏休みのキャンプは4年のときにも訪れ、ホタルを見た。麻里にもホタルを見せたくて、深夜にキャンプ場の宿を抜け出し、麻里、アキオの3人で森へ入る。
麻里
しっかりもので、リーダー気質な小学5年生。4年の時のキャンプは参加していなかったのでホタルを見ていない。「ホタルを見たい」と大介を誘った。
アキオ
大介・麻里の1学年年下の小学4年生。おとなしい性格をしていて冷静。大介に誘われてホタルを見に行く。
第2章の主人公。時が流れ中学生になったアキオは野球部に入り、同じ部員の稲葉の練習によく付き合っている。合唱部の里崎先輩に好意を寄せる。
星空放送局DJ
本書に登場する正体不明の語り手。第1章での不思議なラジオにて登場する。
里崎ミキ
第2章で登場する。麻里と同じ合唱部に入っている。中学卒業後は音大付属の高校に通う。アキオのことは放送係で一緒だったことがあるので、知っている。
稲葉
アキオと同じ野球部員。ナックルボールの練習をしており、アキオに練習を付き合ってもらっている。
掌ほたる(タナゴコロ ホタル)
第3章の主人公。男性。ある朝マンションのインターホンが鳴り、自称家出娘の「ミニー」がやってきた。ずっと1人で過ごしていたため突然の来訪に困惑するも、ミニーが来ることが楽しみになっていく。
ミニー
第3章から登場する不思議な女子高校生。母と2人で暮らしている。
章ごとに主人公が変わります。
4章の登場人物は物語のネタバレになるため
割愛しました。
こんな人に『星に願いを、月に祈りを』はおすすめ!
- やさしい気持ちにつつまれたい人
- 文学的な小説が好きな人
- 星、月、夜が好きな人
やさしい気持ちにつつまれたい人
あとにも素敵な表現・名言を紹介しますが、中村航さんが書いた『星に願いを、月に祈りを』は、心をやわらかくするフレーズやまっすぐな言葉が多いです。
小学生のときに味わう冒険心、中学生で熱中したこと、大人になり冷静に状況を俯瞰すること。各々の年代ごとに違う話、魅力があります。
文学的な小説が好きな人
Amazonに以下のレビューもありました。
2017年3月30日に日本でレビュー済み
文学的な小説が苦手な僕には、ツラかったです
Amazon レビューより
話の意味がよく分かりませんでした
比喩的表現がすこし難しいと感じる人は
本著は苦手な傾向でした。
文学的な小説が好きな人におすすめです。
星、月、夜が好きな人
この本に登場する星空放送局のDJが星や月の話を織り交ぜています。
表紙もかわいらしくて、一目ぼれして本を買ったという声も多いです。
名言・素敵な表現
ふしぎな表現だけれど、つい「どういう意味なんだろう?」
と考えさせられます。
暗くなるってことは、見えなくなることじゃない。
今まで見えなかったものが、見えるようになるってことなんだ。
星に願いを、月に祈りを [ 中村 航 ]
太陽から地球に光が届くのに、八分の時間が必要だ。
遠くを見るってことは過去を見るってことだ。
星に願いを、月に祈りを [ 中村 航 ]
君はいつの日か、君が本当に届けたい人に、本当に届けたい何かを届けるんだ。
君はいつの日か、本当に届けたい人に、本当に届けたい思いを届けるんだ。
星に願いを、月に祈りを [ 中村 航 ]
どうか君の夜空に、優しい星が流れますように。
星に願いを、月に祈りを [ 中村 航 ]
個人的な感想
繰り返し読みたくなる
本著の良さは「不思議で魅力あるきれいな名言」が多いこと、バラバラの話に思えた各章が最後の章で話がまとまり驚かされることです。
特に
「どうか君の夜空に、優しい星が流れますように。」
という名言はINFJ(提唱者)で理想主義なところがある私にとって、
きれいで素敵だと感じました。
最終章につながる伏線を探したいときやきれいな言葉で癒されたいときに本著をもう一度読みたいと感じます。
読みにくさはある
各章で主人公が変わり内容もバラバラに思えること、途中でDJの話が入るので「さっきまで何の話だったっけ?」となりやすいので読みにくさを感じました。
少しずつでも読み進められる人ならいいけれど、
読書をしてから期間が少し空きやすい人は
内容もおぼろげになり、難しいかもしれません。
難易度が高めだけれど、おすすめの小説
賛否両論わかれる本著。しかしながら人によって感じ方が変わるところにおもしろさを感じれる作品でした。